中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2634回
急速に日本に近づいたベトナムの経済環境

私はベトナムに何回も行ったことがあります。
ベトナムが好きだったからです。
好きな理由の中にはベトナム料理が美味しい
ということが大きなパーセンテージを占めていました。

日本経済新聞に「食指が動く」
という連載を書いた時もベトナム料理に触れて、
「フランス料理と中華料理の混血児みたいなものです」
と書いたところ、
ベトナムの愛国党みたいな人たちから
「混血児とは何事だ」
と抗議を受けたことがあります。
私にして見れば、中華料理はアジアの料理のチャンピオンだし、
フランス料理はヨーロッパ料理のナンバーワンですから、
うんと持ちあげた積りだったのですが。

そのベトナムが共産主義の洗礼を受けたり、
ベトナム戦争の被害を受けて、
戦後のアジアでもさんざな目にあわされましたが、
ドイモイ政策がはじまる頃は、
私も好奇心を抑えきれなくなって、
何回となくホーチーミン市に乗り込み、
日本人の企業家が経営していると言われた
サイゴン川に浮んだ水上ホテルに宿泊したことも何回かありました。
ベトナムは地理的に広西省、広東省に隣接しています。
広東省の隣りは福建省です。
うちの家内は広東省の人ですから、
自分でもベトナム人との区別がつかず、
ホーチーミンのホテルのボーイに
思わず広東語で喋りかけたりします。
「ここは香港じゃないぞ」
とたしなめても、
「だってそっくりなんだもの」
とかみさんも苦笑い。
私の想像では、ベトナムは広東、広西と陸続きだけでなく、
そのお隣が福建で、
いずれも海で琉球、日本とつながっているので、
何千年も昔から柳田国男さんの言ういわゆる
「海上の道」
でずっと往き来があった筈です。
ですから、日本人とベトナム人は
顔形を見ただけではほとんど区別がつきません。
話して見てはじめてお互に
「ハハン」
と気がつくほど近い存在なのです。
容れ物が似ていると、
頭の中の働きもよく似ているのかも知れません。
それがここに来て急速に痛感される経済環境になってきたのです。


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2007年5月27日(日)

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