中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2635回
ベトナムは地形的に鎖国のできない国です

ベトナムは日本と同じように米づくりの国です。
ベトナム戦争と共産化で一頃、米の輸出も激減しましたが、
サイゴンがホーチミン市になってから間もなく、
国のトップにいる人たちが
共産主義でやっていけないことに気がつき、
政策の一大転換を図って、
或る意味で、中国よりももっと市場経済化した体制に戻りました。

私は共産国は袖の下が一番効目があるので、
はじめて行く時にバンコックの飛行場の免税店で
外国煙草を6本も買い込んだことがあります。
ホーチミン市についたら、
町の案内をしてくれるガイドさんに
「ここは道端で売っている煙草の方がずっと安いですよ」
と笑われました。
どうしてだろうと首をかしげましたが、
2、3日滞在しているうちにすぐに納得しました。
ベトナムは北から南に細長い海岸がずっと続いていて、
しかも無数の湾になっているので、
警察の目が及ばないだけでなく、
警察も一緒になって密輸に協力するので、
物の出入りに税金を扱う人なんかいないのです。
売れるか売れないかが問題で、
お金になるものなら世界中の物が自由に持ち込まれており、
政府の規制に従う人なんかいないのです。
つまり地形的に政府の規制を受けつけない
自由経済の社会になっているのです。

そういう社会ですから、
政府を握った人たちはすぐに自分たちの考え方を変え、
共産体制下の資本主義という
世にも珍しいドイモイ政策を打ち出したのです。
それによって「袖の下」が
完全になくなったわけではありませんが、
外国資本に対しても気前よく扉をひらいたし、
外国人が不動産を買うことこそできませんが、
国営事業を民営化したり、
工業団地の経営を外国人に任せるようになりました。
日本からの企業進出もありますが、
ベトナムの工業化で一番活躍しているのは
台湾から進出してきた人たちです。
台湾人の経営する証券会社もあれば、
台湾人が経営する上場企業も5社あります。
中国に続いて工業化の道をまっしぐらに走っているのが、
ベトナムということになります。


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2007年5月28日(月)

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