中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2642回
資産インフレが中国経済を直撃

2ヶ月ほど前から私は過大な貿易黒字によって発生した
過剰流動性が中国を襲い、
資産インフレになって、
不動産と株が空前の値上がりをすると予告しました。
その傾向はかなり前から予想されたことですが、
2月の貿易黒字が突如として230億ドルを越えたので
いよいよ始まるぞと瞬間的に反応したのです。

もちろん、貿易黒字のことですから、
月によって上げ下げがあります。
次の月になるとかなり低い数字になったので、
「何を言っているんだ」
と反論する人もいましたが、
大切なことはどの方向に向っているのかということです。
貿易黒字の一方的な連続は戦前にはあり得ないことでした。
貿易収支の清算は、金本位制の時代には、
最終的に黄金で清算しなければなりませんでした。
しかし、どこの国も自分の国の金保有量を減らすことには
猛烈に抵抗したので、
赤字が発生すると直ちに輸入税を引き上げたり、
輸入そのものを禁じてバランスを改善したのです。

戦後、アメリカが主導権を握って貿易の自由化を推し進めた時も、
アメリカは貿易黒字国でしたから、
まさかアメリカが世界最大の貿易赤字国に転落するとは
想像してもいませんでした。
それが対日貿易で空前の赤字になると、
日本からの輸入に対して課徴金をとったりしましたが、
それでは根本的な解決にならないので、
為替レートの切り上げを諸外国の力を借りて日本に強制し、
1ドル360円から80円まで、
円を4倍にも切り上げさせましたが、
それでも根本的な解決になっていないことは
皆さんが見て来た通りです。

しかもそこに至るまでの過程で、
黒字国に一方的に外貨が貯まり、
その外貨を準備金として自国通貨を刷りに刷り続けたので、
国内がお金の大洪水になって、
それが資産価値のある不動産や株に押し寄せ、
いわゆる資産インフレが
どうにも避けられなくなってしまったのです。
かって日本で起ったこうしたお金の嵐が
いま中国に押し寄せているところです。


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2007年6月4日(月)

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