中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2649回
不動産の方がバブルの後片づけは大へんです

私は揶揄まじりに「株の神様」とアダナされて
一世を風靡したことがありますが、
すぐに株に関する執筆をやめて、元の文章書きに戻りました。
私は成長株という斬新なアイデアを持って証券業界に割り込み、
株価の位置を大きく変えましたが、
成長株という考え方は
間もなく投資家たちの常識になってしまいましたので、
私がそこでいつまでも頑張っている意味が
なくなってしまいました。

文筆家としてやる仕事はほかにいくらでもありましたし、
経済の分野だけでも、
税金から不動産投資から事業経営まで
プロの分野に割り込めるスキマを探がすことは
いくらでもできました。
投資にしても株よりは不動産の方がスケールは大きいし、
成果があがれば株どころの騒ぎではありません。
気がついて見たら、あれこれリクツを述べるだけでなく、
実際に不動産投資にも従事していましたが、
資産インフレとまともにわたりあうのは、
不動産の方が株よりはずっと大仕事です。
一歩間違えただけで倒産の憂目にあった友人たちは
周囲に数えきれないくらいおります。

私が辛うじて倒産を免れたのは、
不動産は所有して収入を得るもので、
売買をして差益を得るものではない
という考え方に徹していたからです。
ババ抜きをして、相手にババを抜かせようとすると、
ババが手元に残ってしまう心配があります。
ですから土地を買ってビルを建てて、
そこからあがる収入で
借入金の元利合計が支払えないような儲け話には
一切乗りませんでした。
資産インフレの頃の不動産投資は
更に不動産の値上がりがあることを前提として
ババ抜きをする人が大半でしたから、
私の性に向かなかったのです。

ならば、私は絶対安全だったかというと、
未来のことばかり気にする私は
円高の次は海外投資だと考えて
八百半(ヤオハン)の海外進出に手を貸したために
八百半に倒産されてひどい目にあいました。
その上、国内でも不動産の値下がりで
後片づけに10年以上の歳月をかけてしまいました。


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2007年6月11日(月)

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