中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2675回
大陸の香港化はもう昔話です

早いもので、
香港が中国に返還されてからあッという間に
10年の歳月がすぎ去ってしまいました。
鉄の女サッチャ宰相が北京でケ小平と会談をするために
人民大会堂の階段を登る時、
つまづいてこけたことで、
香港の株価が大暴落したことは
もう皆さんのご記憶に残っていないかも知れません。
共産主義に馴染まない香港の人たちはこれでこの世はおしまいだ
と思ったものです。

しかし、ケ小平の考えた50年間、
香港の社会体制を変えないという一国両制は
返還と同時に実行に移され、
香港は特区として英国の領土だった時代と
さほど違わない体制のまま更に一そうの繁栄を続けてきました。
返還前、共産主義を嫌った人々は
カナダやオーストラリアに大量に移住したし、
日本の経済評論家の人たちはこぞって
「共産治下の香港はゴースト・タウンになる」
と断言していましたが、
私は「大陸の香港化が起るのであって、
香港が共産中国の中に呑み込まれてしまうのではない」
と主張して、
自分の信者たちを連れて、香港に渡り、
叩き売りに出されていた香港のマンションを
650室も買いまくったことがあります。
途中で天安門事件が起ってあわてた人もありましたが、
中国の開放政策が発表されると、
香港の不動産が一挙に6倍にはねあがる
というおいしい話にもめぐりあいました。

返還式の時、
私はNHKの番組にも登場して、
「一国両制というけれど、一国1.5制くらいですかね」
とかなり共産党寄りの政策がとられるのではないか
と指摘したことがあります。
最初の頃はそういう印象を受けたことも度々ありましたが、
その後の中国大陸の工業化は私たちの予想をこえて
大へんなスピードですすんだせいもあって、
かなり資本主義寄りの市場経済化がすすみ、
大陸の方がずっと香港寄りの発展をしていることは皆さん、
ご承知の通りです。
中国株にしても資本金集めの中心地は香港に移ったくらいですから、
香港の役割は以前よりもずっと重要なものになっています。
香港化どころか、
香港を追い越すのではないかと思いたくなるほどです。


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2007年7月7日(土)

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