中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2683回
中国がアメリカの最大のファンドに出資

石油の値上がりによって
努力せずして懐中にころがり込んだあぶく銭と、
アメリカに物を輸出して財布に入りきれなくなったドルの札束が
いまやアメリカに集まって、
もっとお金をふやす方法はないかと、
世界中に目を光らせています。

その一方で、中国のようにドルが貯まりすぎて、
それが人民元の大洪水になって
資産インフレで真っ青になっている国は、
アメリカに行って中国の持つ外貨を減らす方法はないかと
血眼になっています。
だからと言って、政府の持っている外貨を供出するだけで
事がすむわけではありません。
人民元を減らすためには
先ず海外ファンドに出資するための国債を発行して
人民元を回収し、
その人民元で人民銀行のドルを購入して
海外ファンドに出資する必要があります。

苦肉の策として最近、
人民政府がアメリカを代表する世界最大の投資ファンド、
ブラックストーン・グループに中国政府が出資して
30億ドルの無議決権株を取得することが発表されました。
中国側から見れば、30億ドルの外貨を減らすことになりますが、
アメリカ側から見れば、
中国の更なる市場開放を期待した一歩を踏み込んだことになります。
お互いに胸に一物あっての合作ですが、
中国側が外貨減らしを意図しているのに対して、
アメリカは中国への投資をもっと安全、
且つ確実なものにしようとする試みですから、
はたして双方の思惑が行き違いにならないですむものかどうか。

人民元が高くなる方向に向えば、
世界のファンドは日本よりももっと中国の投資対象に向います。
するともっと人民元をふやすことになりますから、
中国の意図と逆になります。
何のことはない、人民元とドルの間で
押しくらまんじゅうをくりかえすようなものです。
この一事を持ってしても、とにかく
人民元をドルに換えて外に出せというのが至上命令ですから、
いま中国で何が起っているかを示す
これは尻に火のついた動きと見てよいでしょう。


←前回記事へ

2007年7月15日(日)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ