中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2684回
外貨減らしの努力は殆んど徒労に終わる

ことしは控え目に見ても、
中国の貿易収支は約2千億ドルの黒字になって、
その分だけ政府の外貨準備高がふえ、
そのお金を人民銀行に持ち込んだ企業に人民元が支払われます。
この調子で人民元がふえ続ければ、物価にも影響しますが、
食料品や日用品は実際に消費される以外には
買溜めの必要がありませんから、
あまったお金は不動産とか株とかに投じられます。
日本の場合はダウ1万円くらいだったのが
ダウ3万9千円まで買われたし、
不動産に至っては坪100万円くらいだった青山通りの土地が
坪1億円まで押しあげられました。
そして、そのあとに地価と株価の大暴落があって、
経済界が十何年にわたって足腰の立たないくらい
打ちのめされたのです。

そういうのを目の当りにしていますので、
中国政府も人民銀行も、
日本の二の舞はやるまいと死物狂いになっています。
昨日書いたアメリカ最大の投資ファンド、ブラック・ストーンに
30億ドル分も人民元で国債を発行して
そのお金で外貨準備高を減らそうと努力しているのも
そうした人民元減らしの対応策の一つです。
しかし、中国政府の思惑と
ブラック・ストーンが考えていることは
利害が必らずしも一致してはおらず、
同床異夢に終わる可能性が大きいのではないでしょうか。
というのも、世界中のお金は
お金の儲かりそうなところに集まる傾向がありますから、
世界的なファンドのお金は中国に向うのが常識です。
中国としては中国のお金を持ち出して
アメリカでも日本でもブラジルでも
中国以外のところに投資してもらいたいのに、
ブラック・ストーンは中国の方を向いて動いているのですから、
もしかしたら香港あたりをうろうろして
中国株に投資されることになるかも知れません。
もちろん、露骨にそんなことをやるわけには行かないでしょうから、
別のお金が別の形で動くことになるでしょうが、
資本の原理から言えば、
中国の思惑通りに行かない公算が多い筈です。
あと一年たってから人民銀行の努力のあとを見たら、
どちらが正しいか、
はっきりした答が出てくるのではないでしょうか。


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2007年7月16日(月)

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