中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2697回
香港上場株の増資が延々になっているわけ

次々と会社見学に行って
何人もの経営者と話をしていてわかったことですが、
中国の政府の外貨対策が
多くの企業の増資計画に思わぬ影響をあたえているようです。

上場をしている以上、どこの会社も自社の株価の動きを見ながら、
資金ぐりのための増資計画を建てます。
ところが、私たちが現在売買をしている香港市場の上場株は、
大陸に本社があって香港に上場している会社もあれば、
本社がタックス・ヘブンにあって
中国大陸で事業を行っている会社もあります。
香港とか、タックス・ヘブンに本拠地をおいている上場会社は
配当をしたり、増資をしたりする場合、
香港証券取引所の許可をもらえば、それですみますが、
本土に本社のある会社は、
香港証券取引所に申請する前に
先ず北京当局の許可をもらう必要があります。

ところが、香港上場の中国の会社が増資をするということは
新しく外資を集めることになりますから、
その分だけ政府の手持ち外貨がふえることになります。
ただでさえ外貨減らしに大わらわになっている時ですから、
外貨をふやす増資は更に外貨増に拍車を駆けることになります。
当然、北京当局がいい顔をするわけがありません。
というわけで増資計画を取りやめた香港上場企業も
1社や2社ではないようです。

そういう話をきいてやっと納得したことがあります。
上海棟華の増資計画になかなか許可がおりず、
3月に完了する予定の増資が6月になっても完了せず、
6月にはできるだろうと言っていたのが
更に9月まで延期されています。
この調子だと、9月になっても許可にならない可能性があります。
このもたつきを待ちきれなくなった投資家が
某大証券を通じて
現在流通している株の大量買いに出たために
株価に新しい動きがありました。
会社に手落ちがあったわけではありません。
政府の外貨政策を読み切れなかったことが原因だったことが
最近になってやっと納得できたところです。


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2007年7月29日(日)

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