中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2710回
コピーからオリジナリティにあと一歩

日本人には職人芸と完璧主義という2つの長所があります。
では日本人にオリジナリティがあるかというと、
日本文化の源流を辿って行くと、
主流が外来文化で、それが日本に入ってきて、
日本流に改善されて定着したものがほとんどです。

キモノにしても、
日本人の伝統的な衣匠ということになっていますが、
呉服というようにもともとは呉の国の衣匠でした。
それを留学僧たちが呉の国から持ち帰って
日本人の着る物になったのです。
明治以降は文化の輸入先が中国から欧米に変わったので、
呉服が洋服に変わりましたが、
基本的に外来文化であることに変わりはありません。

ただ昔と違って海外との交流が密接になったので、
一旦、輸入された物が日本人の手にかかって改良改善されると、
今度はメイド・イン・ジャパンのレッテルが貼られて、
日本から逆流して諸外国に輸出されるようになりました。
アメリカやヨーロッパから輸入された自動車の生産技術は
日本で改良改善されて、
トヨタやホンダとなって世界中に輸出されたり、
現地生産されるようになっています。
また、敗戦によって中国から兵隊たちが持ちかえったラーメンは、
これまた日本で改良改善されて、
いまや香港や中国大陸でブームを捲き起しています。

そういう文化の交流を忘れて、
日本人は中国人が
自分たちの製品のそっくりさんをつくってけしからんと
文句を言ったりしていますが、
中国文化もまた独自につくりあげられたものではなくて、
中国は「外来文化の卸売りセンター」といった方が真相に近いので、
実はどちらもどちらなのです。
欧米文明の受け入れでは日本の方が先輩なので、
日本の真似と言われますが、
恐らくあと10年もたたないうちに
コピーのレベルが日本に追いつくことでしょう。
但し、それが横並びになるためには、
中国にもう一努力が必要なことは言うまでもありません。
そうした中で一番必要なのは
オリジナリティとデザインの確立だというのが私の見方です。
そのへんに力を入れたいと私も努力しているところです。


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2007年8月11日(土)

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