中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2728回
世界の警察も大きくぐらついています

アメリカは第二次大戦で大きな役割をはたし、
その存在を世界中から認められるようになってから、
ここ半世紀ばかり「世界の警察」
の役割をはたしてきました。

その一方でアメリカの国力は約30年ほど前に頭打ちになり、
国をあげて「双児の赤字」に悩むようになりました。
競争しても物づくりで勝目がないことがわかると、
アメリカ人は物づくりはもっとコストの安くてすむ国に任せ、
自分たちはそれを輸入して流通過程で稼ぐ体制に動きました。
そのために財政だけでなく、
貿易収支でも垂れ流しが起るようになり、
止らなくなった赤字をドルを刷って支払うようになりました。
このへんからアメリカの国力は
下り坂を駆けおちるようになるのです。

でも金持ちが没落する時だって一朝一夕に起るわけではありません。
「腐っても鯛」ですから、
アメリカは印刷して渡したドルを渡した相手国から
うまいこと言って出資させて国債を買わせたり、
ファンドを買わせます。
その場合でも、
人から預かったお金はもっとふやしてかえす必要がありますから
アメリカがジリ貧になることは避けられませんが、
もっともっとお札をたくさん印刷して先へ伸ばすことはできます。
ドルがただの紙切れになることは
ドルで出資している側も困りますから、
ポイするわけには行きません。

おかげで小康が長康になっていますが、
アメリカの威力が次第に衰えることをとめることはできません。
とりわけ世界警察としての威力の衰えは戦争にまき込まれる度に
ますます目立ってきます。
かくてアメリカも次々と国策を変えざるを得なくなり、
そのとばっちりが日本にもとんで来ています。
戦後アメリカ一辺倒でずっとやってきた日本も、
次はどうしたらよいのか、
一大長考を強いられるところまで来てしまったのです。
それでも泰平の眠りになれた日本人は
「泰平の眠りを醒ます蒸気船」
くらいではまだ目を醒ますには至っていません。
遂に航空母艦の作り方について
アメリカが中国に協力する時代になったのに、
日本はまだ昔の夢を見続けているように見受けられます。


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2007年8月29日(水)

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