中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2754回
広告会社の株を買った動機

ちょうどその頃、
私は中国経済はどんな方向に切り替わって行くのだろうかと
漠然と考えるようになっていました。
これまでは「世界の工場」を目指して輸出に力が入っていましたが、
大幅黒字が続くと、
アメリカをはじめ輸入超過に悩む国々も黙ってはいないだろうし、
国内も所得水準が上がる方向に動いていきますから、
国内消費がふえはじめます。
政府もそういう方向に指導方針を変えていますから、
次は国内消費産業の出番じゃないかと思うようになりました。

とすると眞先に頭に浮んできたのは広告業です。
私は電通や博報堂を
今日のスケールまで押し当げてきた人たちの中に知人も多いし、
広告業がどんな発展をしてきたかについても
一通りの知識は持っています。
そうは言っても知っているのは上っ面だけかも知れません。
そうした目で見ても、
電通や博報堂のスケールの広告業者は
まだ中国には存在していません。

たまたま私は上海にデザイン学校をつくる構想を持って
計画をすすめていました。
工業生産は一口で言えば、
付加価値の創造ですが、
工業的付加価値の中で
デザインは大きなパーセンテイジを占めています。
そうした中にあって、
中国のデザインは弱体で
それ相当の役割をはたしているとは言えません。
それを補うためにはデザイナの養成からはじめなければなりません。
そのために講師の先生を日本から呼び寄せる必要がありますが、
ロクに授業料も払ってもらえない学校では
教授陣の報酬どころか、
飛行賃だって払えそうもありません。

何とかならないものかと思案した末に思いついたのが
デザイン会社を設立して
デザインの仕事をデザイナたちにとってあげることです。
そのために上海に来た時に授業は無料奉仕でやってもらう
という案を考えついたのです。
そのためにはどこかの広告会社と結びつく必要があります。
そう考えて上場企業の名簿を片っ端からひっくりかえして
検討しているうちに目についたのが大賀戸外伝媒でした。
私は恐らく経営陣に属さない大株主の1人でしょうが、
大成長株と考えてとりあげたわけではありませんので、
成長株と早合点してとびついた人は勝手が違ってしまいます。


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2007年9月24日(月)

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