中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2766回
決算報告書はよく読んで下さい

それならば、テレビ・ショッピングに転業した
七星購物はどうなんだということになります。
テレビ・ショッピングは中国では
まだはじまったばかりのニュー・ビジネスの一つであり、
うまく行けば大へんな勢いで業績が伸びることが期待できます。
とりわけ七星の場合は
過去1年の実績が示している限りでは粗利が70%もありますから、
予定した通りに売上げ目標が達成できなかったとしても、
かなりの売上げと利益の伸びが期待できます。
何しろ上海だけでなく、
全国的スケールでテレビ販売を展開しはじめたところですから。

この上半期の業績を見ると、利益の4千3百万は
前年度に比べて3.3倍にもふえていますから
このまま推移したら
あと半年で売上げは3億5千万ドルに達し、
1億ドルていどの利益は期待できそうです。
但し、この会社は1株0.11ドルで資金を集める前に
大株主である2人の創業者が
同じ条件で更に増資に応ずる権利を
自分たちにあたえる議決をしています。
倪新光氏が3千7百万株、王志明氏が3千7百万株と
かなりの株数ですから
それがそのまま昔の値段で増資できるとしたら、
株価の暴騰したところを見はからって
自分たちが株式市場で
暴利を貪ることができる仕組みになっています。
創業者に創業者利得のあることは衆人の認めるところですが、
一般株主の利益を考慮に入れない
自己中心の議決と言ってよいでしょう。
それでも株価が何倍にもなるような業績をあげられれば
株価に影響しないかも知れませんが、
この会社の創業者の利己主義が見え見えで
あまり感心できません。
中国の経営者の中には
こういう株主の利益を無視した自己中心の人がかなりいますので
決算報告を見る場合も
そのへんはよく確かめて下さい。
製薬会社の経営者をただの瓶詰め屋といって批判するよりも、
経営者の利己主義やインサイダー取引に
気をつける必要があるように思います。
この株に投機性が強いのは
経営者のそうした性格を反映しているせいかも知れません。


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2007年10月6日(土)

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