中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2775回
遅れた流通をどう切りひらくかが問題

ウラジオストックは
もはや軍事的な脅威を感じさせる存在ではありませんが、
観光名所は山の上にある砲台とか
古い潜水艦の中を覗くくらいなものだけで、
19世紀の博物館に連れて行かれたような気分です。
物価は庶民の収入に比べてかなり高いし、
その上、インフレで生活費だけでなく、
不動産も値上がりが続いており、
決して生活が楽だとは言えません。

その点はハバロフスクも同じで、
こちらの方が文化的な雰囲気がありますが、
ホテル代が日本のビジネスホテル並みの設備で、
1泊1万5千円から2万円、
輸入品の西瓜も1個1万5千円ときいて
とびあがるほどびっくりしました。
とりわけ外国からの輸入品が高価なのは、
輸入された物が一旦、モスクワに持ち込まれて、
課税されてから地方に配給されるせいだときいて、
共産国の泣き所が「流通システムの不備」にあることを
改めて痛感しました。

そういう弱点をついて、
いまソ満国境では担ぎ屋の行き来が盛んですが、
政府が中国人の出入りに
きびしい制限を加えるようになったので、
利にさとい中国人は自分たちが荷物を担ぐ代わりに
ロシア人の担ぎ屋を使って利ザヤを抜いているそうです。
何しろ中国人はミャンマーとの国境でもベトナムとの国境でも
同じ活動をしていますが、
シベリアの国境もその例外ではありません。
ロシア人にはそれだけの才覚がありませんので、
政府は中国人の活躍を心よく思わず、
中国の航空会社にさえあれこれいやがらせをやっています。

それに比べると、日本人は利にさといとは言えず、
商売の面でもかなり進出が遅れています。
しかし、中古車の受け入れられ方に見られるように、
メイド・イン・ジャパンは高く評価されていますから、
チャンスが全くないわけではありません。
日本製品ならおそらく中国製の2倍、3倍の値段でも
ロシア人が喜んでとびついてくれるのではないでしょうか。
閉ざされた流通の経路に
トンネルを掘ることからはじめる必要がありますが、
それさえできれば、
日本人にも黄金の扉はひらかれるぞと感じました。


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2007年10月15日(月)

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