中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2793回
アメリカ資本の金主はまた別の国の人

アメリカは自分たちの国で不足している物や
自分たちが生産したがらない物をすべて外国から輸入し、
その代金をドル紙幣を刷って支払うので、
年々、莫大なドルが外国人の手に渡ります。
ドルを手に入れた外国人はそのお金で
アメリカ中の物を何でも買うことができます。
ですからアメリカの資産のかなりの部分が
実は外国人の物だということになってしまいましたが、
アメリカで人のお金を預かって投資をする専門の金融会社や
投資会社がそれらの外国人のお金を預かって運営をしています。

一番たくさんのお金がアメリカの国債に投じられていますが、
それ以外のお金は会社の乗っ取りから
返済能力の低い階層の住宅金融をする
サブプライム・ローン向けの投資信託にまで及んでいます。

ですから順調に資金の回収ができている間は問題がありませんが、
アメリカに景気後退の徴候が見えても、
アジアや南アメリカなどで金融異変が起っても、
大きな影響を受けます。
なかでも1番深刻な打撃を受けるのは当然、
アメリカ本体の景気後退ですから、
今回の焦げつきがどこまで波及するのか、
アメリカの成長率や失業率に
どの程度の影響をあたえるかによって、
日本や中国の受けるショックも当然、
違ってきます。

しかし、1番はっきりしていることは、
アメリカの投資会社はもはやアメリカ国内だけでは
適当な投資先を見つけるのが困難になって、
日本をはじめ、
工業的にアジアの最前線を走る韓国・台湾・香港・シンガポール、
更には中国の経済の発展に目を向けて
既に走りはじめていると言うことです。
選りに選んでブルドックなどという名の会社にまで目をつけて
逆に噛みつかれるということまで起っているのですから、
これから先、何が起るか、
大凡その見当がつきます。
日本の多くの上場会社がハッと気がついた時には
自社株の大半が
アメリカ資本によって買われてしまっているのです。
そのアメリカ資本の資本家も
実は稼いだだけ使うアメリカ人ではありません。


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2007年11月2日(金)

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