中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2794回
企業は国籍より実力で評価される時代に

日本人は日本人同志での結束が堅く、
チーム・ワークにもすぐれていますが、
その分だけ排他的なところもあって、
成長経済の続いている間、
外国資本が重要産業に従事することを拒否し続けてきました。
それが世界中に日本製品を売るようになると、
いつまでも外国資本を閉め出しているわけにも行かず、
証券界もはじめは外人分に制限をつけて
恐る恐る外人投資に扉をひらくようになりました。
しかし、時間がたつと、
外人買いが株価を維持するのにも役立つことがわかり、
次第に制限枠をはずして、今日に至っています。

そうした外人買いの中には
ソニーやキャノンのように
世界的に名の知れた優良株に人気が集まるということもあれば、
M&Aの対象になってもおかしくない銘柄に
乗っ取りをもくろむ株集めも加わって、
気がついたら、日本の証券市場は
外人投資の前で丸裸にされてしまいました。
証券市場でなく、不動産業界でも借金の取り立てに追いまくられて
売り市場に一変してしまったので、
アメリカ渡来の禿げ鷹の餌食にされるまま
という環境におちこんでしまいました。
いまになってふりかえって見ると、
極端に外資を警戒して防弾チョッキまでつけていた日本産業界が
世界中から集めてきたドルで、
アメリカの乗っ取り屋の意のままになるという
逆境におちこんでいます。

銀行にしても、証券会社にしても、
もしかしたら日本を代表する世界的な大会社でも、
M&Aの対象になっているかも知れないし、
またそれを狙う乗っ取り屋が
アメリカ資本の会社に限らないかも知れません。
それだけ国際化が進み、どこかに集ったお金が国境を超えて
買取に値する株や不動産に
狙いを定める時代になったぞということであります。
その分、日本の資本が外国でM&Aをすることも、
むろん、できますが、
さしあたり日本の足元を守ることだけでも
大へんな時代になったのです。
これからは日本の会社だということよりも、
これは世界に通用する会社かどうかが
企業を評価する基準に変わってしまったのです。
日本の投資家もそういう変化に慣れる必要があります。


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2007年11月3日(土)

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