中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2795回
アメリカ金融資本がアジアで本番

アメリカの金融資本にとって、
アメリカ国内は次第に魅力のないマーケットになりつつあります。
といって中国市場はまだ成長過程ですから、
すぐにも果実を手にとって食べられる成熟度には達していません。
その点、日本やそれに続く韓国や台湾は
料理によってはうんと美味しく食べられるレベルですから、
この30年間にアメリカ本土で鍛えた手口で物になります。
現にこの前のアジアの金融不安で、
アメリカ資本は韓国やタイにも乗り込んで、
金融や中堅企業にもかなり食い込んでいます。

その時点では台湾の金融界はずっこけませんでしたが、
民進党治下の台湾は政治にばかり気をとられて
経済に力が入らなかったので、
バブルの時代に入って経済成長から見離されて今日に至っています。
企業家たちはほとんど大陸に工場を移して
台湾島内は8年も足踏みを続けていますが、
気がついて見たら、アメリカ資本に入り込まれて
金融業界は資本系統から銀行の名前まで一変してしまいました。
とりわけ最近は、あまり遠くない将来に大陸との三通も実現したら、
香港や澳門のように年間に千万人をこえる観光客が来遊し、
地価も大暴騰するだろうと見込んで、
アメリカ金融資本による先物買いがすすんでいます。
台湾の株価が
アメリカの株式市場に逆行して高値を維持しているのも、
来年の総統選の先を見込んだ動きと見たらわかりやすいでしょう。

しばらく私は韓国に行っていませんが、
韓国でも恐らく同じようなアメリカ資本の動きがあると思います。
なぜならばアメリカの金融資本の全盛時代は
成熟社会に入ってからはじまったものだからです。
成熟すると、成長時代にお金を儲けた企業に
あちこちタガのゆるみが出てきます。
そうした企業に買収をかけたり
建てなおしをしたりする特技を身につけたのが
アメリカの金融資本なのです。
その金融資本が国境を越えていまアジアに動きはじめているのです。
活躍の本番はまだこれからだと私は見ています。


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2007年11月4日(日)

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