中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2836回
来年はバブルの発生が一段と劇化

中国株のようにドルと隔絶されている社会でも、
ニューヨーク株が激動すると、
その影響を受けるようになりました。
グローバル化がすすんで、
アメリカに製品をたくさん売っている中国が
アメリカの景気の影響を全く受けないわけがないからです。
とりわけ人民元高がすすめば、
アメリカを最大のお客にしている
労働集約型のメーカーや輸出業者は
まともに直撃を蒙ります。

しかし、アメリカが不景気におち入れば、
アメリカ人は高い商品よりも安い商品を買いますから、
中国製の方が逆に歓迎されるということも起ります。
したがって中国の対米輸出が激減するわけではありません。
中国の外貨準備高は既に1兆4千億ドルを超えていますが、
年末に集計したら恐らく
1兆7千億ドル台に達することが考えられます。
中国政府がサブプライム・ローンの被害を蒙っていないとしても、
1ドル7.4元が0.5元切り上がっても
8千5百億元目減りしたことになります。
人民元を印刷して民間に渡した分が
それだけ政府の負担になってしまうのです。

ですから政府としても人民元の切り上げには抵抗しますが、
国内でふえ続ける人民元がストップしない限り、
どんな金融引締めをやっても、
バブルを止めることはできません。
日本だって宮沢首相や三重野総裁がボヤボヤしていたから、
バブルが発生したわけではありません。
必死になって対策をやった結果がバブル対策に失敗したのです。

それと同じことが必らず中国でも起ります。
恐らく中国も日本の二の舞いを踏むだろうと申し上げましたが、
ここへ来て中国人民銀行の貨幣政策委員の樊綱さんと言う人が
「来年も過剰流動性が一段と劇化するだろう」
という意見を発表しました。
「速やかに貨幣の供給増加を抑え込む必要がある」
とご本人も意見を述べていますが、
人民元の切上げ以外に効果的な手段が見つからないのですから、
来年はことしより更に一段と
資産インフレを伴うバブルの発生が避けられなくなることを
政府筋も認めたことになります。


←前回記事へ

2007年12月15日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ