中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2835回
マネーゲームに敗れないために

10年前、タイのバーツの通貨危機に端を発した
アジアの金融不安が韓国やフィリピンにまで波及した時、
私は「マネー・ゲーム敗れたり」という本を書きました。
その時、私は騒動の元凶はドルの濫発であり、
やがてドルの凋落がはじまると断じましたが、
金融不安によってタイや韓国の金融機関や大企業が
瀕死の重症を負うと、
アメリカ資本がドッと流れ込んできました。

アメリカ資本は駄目になるどころか、
次は日本や台湾などの
当時、金融不安からは中立だった国に狙いを定めて
株の買い占めと不動産の買収に力を入れるようになり、
日本では株の売買の6割以上を
外資が占めるようになりましたが、
台湾ではそれ以上であると言われています。
とりわけ台湾の銀行は次々と買い占めの対象になったので、
銀行の名前もすっかり変わってしまい、
私でもどこの銀行がどうなっているのか
理解が困難になっています。

今回、サブプライム・ローンによる被害が
世界的なスケールに及んだので、
10年前とどう違うか確かめようと思って
PHPから出版した自著「マネーゲーム敗れたり」
改めてめくって見たところ、
なんといま起っていることをそっくり書いているのではないか
と疑いたくなるような内容だったので、我ながら驚天しました。
興味のある方は古本屋で探してご一読下さい。

となると、1回戦、2回戦とやっているうちに
少しずつドルの劣勢が顔を出してきますが、
これでドルが敗退する決定打が打ち出されるわけではありません。
何しろ経済力のある国ほどドルをたくさん擁えているので、
ドル安によって損害を蒙る立場に追い込まれているのです。
ですから、ドル安になっても
損害を最小に食い止めるだけの工夫が必要になっています。
とりわけ個人は大事な虎の子をドルで持っていたら、
猫の子か、蛙の子くらいになってしまいます。
ですから、アメリカよりも強い国の通貨か、
強い国の財産に切り替える必要があるようになったのです。


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2007年12月14日(金)

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