中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2838
一番安全なのはお金のない人です

日本で起ったようなバブルの発生とその終焉が
中国でも避けられないとすれば、
その上手な対策が絶対に必要になります。
絶対に間違いのない方法はお金を持たないことです。
お金がなければ、
お金が目減りしても何の影響も受けません。
でもそんなことができないことは
このコラムを読んでいる人なら誰でも知っていることです。

バブルの崩壊で倒産に追いこまれた人々は
大半が借金をしすぎた人たちです。
何しろ東京の私のオフィスからすぐ1歩外へ出た青山通りの地価が
1坪3百万円から1億円まで買われたのですから、
借金能力のある人がジーッとしておられるわけがありません。
坪1千万円の時に銀行から借金して土地を購入した人は
バブルがはじけてからでも
多分、損はしなかったでしょう。
でも5千万円から1億円の間でとびついた人は大怪我をした筈です。

借金をこわがるばかりでなく、
何事にも慎重な人は何もしないで現金をそのまま
銀行や郵便局に預けっぱなしにしたかも知れません。
しかし、そうなると、
土地の値上がりについて行けなかっただけでなく、
地価が大暴落したあとも
自分の財産が目減りしてしまったことになります。
1番損をしたのは銀行から巨額の資金を借りて
高値の土地にとびついた人たちですが、
その次に損をしたのは何もしないで
銀行にお金を預けっぱなしにした人たちです。
ですからやがてバブルがはじけるぞとわかっていても、
慎重を期して何もやらなかった人たちはお金の目減りにあって
大損をさせられたことになります。

バブルが発生するから株も買うな、
不動産も買うなと大事をとっていると、
インフレの波に乗りそこなってしまうのです。
反対に調子に乗って大きな借金をすると、
破産に曝される心配もあります。
1番安全な方法は自己資金で資産インフレの波に乗ることですが、
それだけでは満足のできない人が山といる筈です。
1番警戒しなければならないのは自分で処理できないほど
借金を抱え込むことです。


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2007年12月17日(月)

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