中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2839回
誰も中国の資産インフレを防ぎきれない

中国でもかつて日本でバブルを発生させたのと
同じ事態が発生しています。
貿易の大幅黒字が続くと、
現行の貨幣制度では中央銀行が外貨を受け取って
代わりに自国通貨を輸出業者に支払わなければなりません。
そんな状態が続くと、
自国通貨の大洪水が起って物価を押し上げます。
生活需要品が不足がちの時は物価のインフレになりますが、
既に日用品があふれておれば、
お金の洪水は土地や株や骨董品、宝石などの資産に向い、
いわゆる資産インフレをひき起します。

これを防ぐ方法は通貨の大洪水をとめるよりほかありませんが、
そのためには自国通貨の為替レートを切り上げて輸出を減らし、
輸入を増やして貿易収支をバランスさせるよりほかありません。
しかし、そうすると
輸出によってお金の儲かるチャンスを
自分たちの手で断ち切ることになりますから、
日本の場合もなかなかそれができなかったのです。
そのために一坪3百万円だった青山通りの土地が
あれよあれよという間に1億円にまではねあがってしまったのです。

それとよく似た現象がいま中国全体に起っています。
中国人にとってははじめての経験ですから、
どうしていいのか、
人民銀行の貨幣政策担当者さえおろおろなのです。
幸にも日本に先例がありますから、
それを参考にして前車の轍を踏まないように、
と考えられる限りの対策を打ち出していますが、
どれも外貨のふえるのを食い止めるだけの効果がありません。
恐らく年末には
外貨準備高だけでも1兆7千億ドル台に乗せるでしょう。
そこへ世界的なドル安が重なって、
更に人民元切上げの国際的な要求が強まると、
国内の資産インフレに拍車がかかることになります。
それを防ぐために政府が対応策を打ち出すと、
その度に株が大暴落したり、
不動産の値上がりにストップがかかりますが、
水道をひらきっぱなしにしておいて、
水に溢れるなと言っても無理なことは
誰の目にもはっきり見えています。


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2007年12月18日(火)

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