中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2840回
資産インフレの本命はやはり不動産

いまの中国経済がバブル発生時の日本と違うところは、
日本が高度成長から安定成長に移る過程で
資産インフレにおちいったのに対して、
まだ高度成長の進行過程におかれて
早くも人民元の大洪水になっていることです。
ですから高度成長と過剰流動性が同時に進行しており、
輸出にストップがかかったとしても、
国内市場の成長が続くので、
資産インフレだけでなく、
物価の上昇にもストップがかかりにくいことです。

資源不足に刺激された物価高が起ると、
日本のように成長のとまった国では
賃上げがないのに物価だけが上がりますから、
国内消費の減退が避けられなくなります。
そこへまた財源不足による増税の要求が強くなりますから、
不況色が一段と強まることが考えられます。
それに対して中国では同じように
食品を中心とした物価高が既に起っていますが、
高度成長による人手不足と賃上げが同時に進行していますから、
不況どころか、むしろインフレが刺激になって
好況の様相が続いています。

しかし、世界的な景気後退と人民元の切上げによる
産業界の浮沈がそれなりの変化をもたらしますから、
好況の中でも産業界のチャンピオンの入れ替わりが起ります。
つまり全体として上昇気運の中にありながら、
人気株の後退を促すので、
昨日と同じことをやっていたら、
それでいいというわけには行きません。
資産インフレの中で、株も不動産も上昇列車に乗りますが、
不動産の方が特急車の指定席だとしたら、
株は各駅停車の自由席と言ってよいかも知れません。

中国人はそのことを本能的に理解しています。
ただ特急車は料金が高いので、
誰でもすぐに乗れるものではありません。
実はその分だけ中国人は株より不動産にこだわります。
つまり不動産は中国人にとって
資産インフレの本命であるということです。
それなら外国人も不動産を買えばいいじゃないか
と思うかも知れませんが、
これ以上投機資金が外貨の形で流入するのを恐れて
中国の政府は外国人が不動産に投資することを
一時的に禁止しています。


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2007年12月19日(水)

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