中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2870回
節税の本はもっと金持ちになってから

「ゼイキン報告」がベスト・セラーズをやったあと、
私はあちこちの税理士事務所や税制研究会に頼まれて日本国中、
講演に引っ張りまわされたことがあります。
この時期に日本実業出版社から頼まれて
同社の「経営者会報」に書いたのが「節税の実際」で、
当時一般単行本の定価が6、700円であったのに対して
1500円というとびっきり高い定価がつけられたにも拘らず、
続けてベスト・セラーズになったのは、
読む人たちが税金で悩まされていた
高額所得者たちだったからだと思います。

本のまえがきにも
「もしこの本を読んでも一向にピンと来ない人や
えらい高いじゃないかと思う人はまだ出世の足りない人だから、
先ず仕事に励んで高額所得者の仲間入りをすること」
と書いてありますが、
これは古本屋で「節税の実際」を1円で買って
(ほかの人は8000円と言われて
思わずひるんだと書いていましたから、
多分、ウソだと思いますが)
税法が変わったから何の役にも立たないと感想を述べている人にも
そのままあてはまります。
私が書いたのは税法をつくった思想的背景と
税制を貫く法則であって、税率の解説ではありません。
税率の解説ならいくらでもプロがいますが、
税法を貫く思想や法則は
40年前も今もほとんど変わっていないのです。

たとえば、私が「節税の実際」を書いた頃、
贈与税は40万円まで無税でしたが、その後、60万円になり、
いまでは110万円になっています。
数字を変えるだけで、
それを超えた分に対する物の考え方や対応の仕方は
40年前と少しも変わっていません。

一番大きな違いがあるとすれば、
資産形成の上で借金のはたす役割です。
いまは借金は危険物扱いで、
その代わりにグローバル化の時代ですから、
資産を外国に移すかどうか、
また海外投資をした場合の
税務対策はどうするかといったことに集中します。
その場合でも税金がへこたれるほどかかってくる人と
そうでない人とでは
税金に対する真剣さに格段の相違があります。


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2008年1月18日(金)

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