中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2872回
どうせ税金のことで悩むのなら

中国株をやっているプチ資本家たちが
日本の税法に対して不平を鳴らしているのは、
本当は税法全体に対してではなくて、
自分たちが株の売買によって得た所得に対する
10%(やがて20%)の税金に対する
ウラミ・ツラミにすぎないようです。
高額所得者が払っている何千万円、何億円とはわけが違います。

事の起りは同じ日本人でも日本の証券会社でなくて、
香港の証券会社に口座を持っている人たちは、
証券会社から税金のことで尻を叩かれないですんでいるからです。
しかし、厳密に言うと、日本国内に住所がある限り、
総合所得税の対象になるのは原則ですから、
内心不安に思っているのは税金の申告をしない人たちです。
まさかそういう人たちを密告するわけにも行かないので、
それがストレスになっていつまでたっても心が晴れないのです。
なら自分もその仲間に入ればいいのですが、
そうするとまた新しい心配に悩まされることになります。

いっそ日本に住むのをやめて、
日本の非居住者になれば、このもやもやは解消します。
と言ってたった10%か20%のために
本業まで捨てて海外に移住するほどの勇気を持った人は
あまりありません。
もともと勇気がなくて、くよくよする人だから
いつまでたっても心が晴れないのです。
税法はそうしたくよくよした人に
決心を促すためにあるものではなくて、
次の時代に新しく事業を起したり、
高額所得者になる野心を持った人に
決断を強いるきっかけになるものなのです。

もしあなたが新しい仕事を成功させたいなら、
日本に住んではおられない筈です。
またもしあなたが
年に1億円も2億円も収入があるようになったら、
もっと税金の安いところに住む道を選びたくなる筈です。
そういう人は思い切って
日本の非居住者になることを真剣に考えるようになります。
くよくよ族は日本に残して、
自分だけがチャンスの多いところに移住すればいいのです。
成功するにはどうしたらよいかはそれから考えても間に合います。


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2008年1月20日(日)

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