中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2883回
民間の海外投資にあともう一歩

日本人は国としてのまとまりがよいし、
チーム・ワークがよくできているので、
会社経営には向いているし、国内で投資活動をする限りでは
そんなに危険な目にあわされずにすんでいます。
ところが、一歩海外に踏み出すと、言葉のわからない人が多いし、
外国人とつきあうことになれていないので、
お金の受け渡しの伴うビジネスや投資にかかわると
いとも簡単に騙されてしまいます。

たとえばドルあまりで政府や日銀が頭を抱えた時、
銀行を通じて資力のある人たちに
いとも簡単にドル貸しをしましたが、
そのお金を持ってアメリカの不動産投資に出かけた人たちは
そのほとんどのお金を
アメリカという巨大なドブの中に捨てて帰ってきてしまいました。
一坪いくらで土地を買う日本人には、
そこからここまで全部でいくらという
スケールの違う土地の売買にはついて行けなかったのです。

それに比べると、中国人は世界中、どこにでも住んでいます。
カサブランカだろうと、ブエノスアイレスだろうと、
ケープタウンだろうと、
中国人が身過ぎ世過ぎをしていないところを
探がす方が大へんです。
そういう人たちは無一文で出稼ぎに行き、
現地の言葉を覚えて、自分の家を買ったり、
不動産や事業に投資していますので、
ドルを持って現地に投資に来た同じ中国人に
一杯食らわせることがないとは言えませんが、
日本人に比べるとうんと安全な投資ができる環境にあります。

いま中国で貯った莫大な外資を、
国が中心になってアフリカの資源開発や
アメリカの一流企業に投資しはじめたところですが、
恐らくそれで間に合わない時が来るでしょう。
中国でも民間人が自分たちの持っている人民元を
ドルに換えて海外投資をしてよろしいということになったら、
かつての日本人よりずっと安全な形で
海外で成功できるのではないでしょうか。
ガメツイ、シタタカな奴だという悪評は免れないとしても。


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2008年1月31日(木)

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