中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2884回
コストダウンと製品高級化への二極分化

国内の生産を落とさずに、
輸出に若干のブレーキをかけようとすれば、
中国政府は人民元の切り上げの過程で、
国内消費の拡大に力をいれるよりほかなくなります。
現に、そういう政策も打ち出されていますが、
経済成長と資産インフレによって物価高が先行していますから、
景気の落ち込みがはっきり表面化しない限り、
消費奨励策がとれられる可能性はあまりなさそうです。
ということよりも、ことしはコストダウンが
企業経営の中心テーマの一つになるのではないでしょうか。

工業が発展すれば、
農作物が値上がりすることは日本でも経験したことです。
また人手不足が起って賃金の暴騰が起ることも常識です。
いまそれが中国で全国的規模で起っているところです。
とうもろこしがガソリンの代わりに使われるようになったために、
豚の飼料が値上がりし、豚肉が5割も値上がりしたことは
中国中の話題になっていますが、
平均賃金が上昇する過程に起っていることですから
消化できないことではありません。
産業界にとってもっと重要なのは、
工業の高度化によって人手不足が一段と深刻になって
人のやとえなくなった企業が続出していることです。
特に安い賃金で工業化が先行した
広東省の深圳とか東筦とか言った地域で、
コストダウンのために
労働集約的な業種の工場大移動が起っています。
その移転先が西部の成都とか重慶だけでなく、
国境をこえたベトナムやカンボジアに及んでいますが、
これで中国がピンチにおちいるわけではありません。
中国の産業界は初歩的な工業製品の生産から、
日本や欧米のトップクラスの商品に
挑戦する過程に入ってきたということです。

いまそのことで一番危機感を抱いているのは
三星とか現代のような韓国のメーカーです。
日本と中国の間のサンドウィッチになって
存在できなくなるんじゃないかとあせっているのです。
しかし、それを韓国だけのことと思ったら、
日本人はおめでたい奴だということになりかねません。


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2008年2月1日(金)

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