中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2913回
今度こそアメリカのお手並み拝見

日本で20年前に起ったことがサブプライム・ローンをきっかけに
とうとうアメリカで起ってしまったのです。
日本ではその影響が日本国内にとどまって、
よその国にまで及びませんでしたが、
ドルは世界の通貨ですから、
ドルをたくさん持っている国はどこもその影響を受けます。

一番驚いているのはアメリカの政府で、
大統領選挙を控えている時でもあり、
ブッシュ大統領が先頭に立って
気前よくドルをバラ撒きにかかっています。
サブプライム・ローンの影響がはたしてどこで鎮静化し、
株価の下げがどこで落着くかはまだ見当がつきませんが、
なくなってしまったのは不動産でも株でも、
まして生活必需品でもなくお金――
それも印刷されたドル紙幣ですから、
損をした人や銀行があるだけですから、
片のつかないことではありません。
ドルや企業の持主が選手交代するだけで、
ドルはまた印刷すればいいのですから。

10年前に、私が「マネーゲーム敗れたり」を書いた時も、
私は100兆円も円の印刷をすれば、
日本のバブルによる不良債権の問題は片づくと書きました。
それをやらなかったから
バブルから脱却するのに16年もかかってしまったのです。
同じことがサブプライム・ローンの後始末についても言えます。
アメリカやヨーロッパの銀行は
倒産を避けるためにすぐトップをすげかえ、
お金を持っている別の人の出資を仰ぎました。
大株主が変わるだけで、
別の人がお金を出すか、政府が新しくドルを刷り直すだけで、
組織はちゃんと動いて行くのです。

その代わりドルの信用は失墜するし、
アメリカの金の権威も地に堕ちます。
事と次第ではユーロや人民元が
ドルと肩を並べるところまで浮び上がってくることも考えられます。
前回でも最後に
「バブル処理で米国のお手並み拝見」と私は書きましたが、
今度こそ本当にアメリカはどう対処するのでしょうか。
ドルを印刷するだけで片のつくことだと思いますが。


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2008年3月1日(土)

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