中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2912回
日本で起ったことがアメリカでも起る

アジアにおける10年前の金融不安は
バーツの大暴落からはじまってウォンにまで及びましたが、
どちらもドルの仕業でしたし、
それにつけ込んでアメリカの金融業者がタイや韓国に乗り込んで、
銀行や企業の買占めに動きました。
もしこういうことが許されるのなら、
バブルの崩壊に苦しんでいる日本でも同じことが起ります。
事実、その後の日本を見ていると、
銀行をはじめ、キャノンやソニーまで
持主の半分を外国資本が占めるようになり、
その後もずっと上場企業のM&Aが続いています。
日本の不動産も株式市場も
外資におもちゃにされるようになりましたが、
日本の外貨事情は
他の貧乏国と違ってアメリカの投機家たちの手に合わないので、
さすがにバクチの対象にはなっていません。

でも、もしアメリカのバクチの胴元たちの
バクチの対象がアメリカ国土に向うことが起れば
アメリカでも日本で起ったと同じことが起る可能性はある――
と10年前に私は考えました。
ですから、世界的マネーゲームの崩壊という最後の章で、
「日本で起ったことはアメリカでも起る」
とちゃんと書きました。
日本ではバブルは土地と株の双方に発生しているが、
アメリカの場合は
恐らく株価の大暴落というところに集中するだろう、と。

「今度のマネーゲームは国をあげての大バクチだから、
石油ショック以降、四半世紀かけて大量に印刷したカネを
銀行やファンドに集めてカネでカネを稼ぐ挙に出たのだから、
バブルが消えて株価が下がってしまえば、
カネもその分、消えてなくなってしまう。
それもアメリカ中の大銀行が
貸付金の担保としてとった株や証券が目減りするのだから
預金はもとより同業者からの借入金も返済できなくなり、
そのまま放置しておくと、
日本の銀行で起ったことと全く同じことが
アメリカの銀行にも起ることになる」だろうと。

いま起っていることを書いているのではありません。
10年前に予言したことが、いまそのまま起っているのです。


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2008年2月29日(金)

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