中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2915回
電車の中なら「座右の山本夏彦」を

毎週、週間新潮のグラビアの頁で元気のよいクダを巻いていた
山本夏彦さんがあの世に行ってしまってから、
これで6年になります。
夏彦さんは銀行員と税務署員が大嫌いで、
銀行員は高利貸し、税金は罰金だと言ってはばかりませんでしたが、
意外にも私の「銀行とつきあう法」とか、
「ゼイキン報告」と言った本をよく読んでいて、
私と話をする時は談論風発でした。
また食べ物にも目がなくて、うちへ食事に来ませんかというと、
すぐにも気軽に押しかけてきました。
歯に衣を着せない物の言い方でしたから、
カタキにまわった人には忌み嫌われましたが、
言っていることは真理をついていますから、
きいている方は思わず頬を綻ばかしてしまいます。
そういう私も夏彦さんの愛読者でしたから、
ご本人の死んだ時は滅多に葬式に行かない私が
珍しく葬式にも出かけて行ったのをいまでも覚えています。

その山本夏彦さんのことを、
ハイハイQさんでずっと
強い父さん賢い母さん」という連載を書いていただいた
嶋中労さんが
これまた江副浩正さんの
「不動産は値下がりする!」と同じ中公新書ラクレから
「座右の山本夏彦」と題して、
夏彦節のことを面白おかしく解説しておられます。
「人前で立派なことを言う人ならたいていうそつきである」
「忌憚なく言えということはほめてくれということだ」
「教育の普及は浮薄の普及」
「寿司屋も天ぷら屋もそうである。
自分に何の取柄があって、彼らは客をあなどるのだろう」
「梨園の名門というのは
乞食のなかの名門というほどのことで笑止である」
「芸人というものは、本来カムバックしないものである。
というより、してはならないものである」
「職業に貴賎なしというのはウソである」
「人の味覚ほどあてにならないものはない。
トマトの形をしていればトマトだと思う」・・・・・・
とタイトルだけ見ていても思わず笑ってしまいます。
私の家には夏彦さんの本はたくさんありますが、
電車がストップするたびに一節読み終わる本として
この新書本にまさるものはありません。
電車の中で読んで下さい。


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2008年3月3日(月)

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