中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2934回
低金利がアメリカを凋落させる可能性も

もう一つ、バブルがはじけたあと、
日本が低金利政策をとって大した効果がなかったばかりでなく、
日本の株式や不動産のかなりの部分を(日本人のお金を使って)
アメリカの機関投資家たちに買い占められたとすれば、
いまサブプライム・ローンの失敗によって
バブルのはじけたアメリカで、
同じように低金利政策がはじまっています。
はたしてどんな変化がアメリカに起り、
世界の経済地図がどう変わるのか、とても面白いと思いませんか。

産業界の低迷を救うために、低金利政策をとっても、
地価も株価も日本で上がらなかったとすれば、
アメリカでも同じことが起る可能性は多分にあります。
と言って私企業のピンチに公的資金を動員して
救済に乗り出すのでは名目が立ちません。
現に銀行や保険会社や投資会社の損失を補うために
お金を持っている外国の企業や組織からの出資を仰いでいることが
連日のように報道されていますが、
いまそうした余裕のあるのは、
オイル・マネーとか、
中国のように米ドルをしこたま貯め込んだ国とか、
そうした国の金融機関ということになります。
かつて世界大戦を挟んで
世界の富の中心がイギリスからアメリカに移ったように、
アメリカのドルの凋落と共に、
世界的な富の所有者の大移動が起ることも考えられます。

さしあたりオイル・ダラーの持主が
アメリカの主要銀行や証券取引所の大株主におさまったり、
中国の政府関係企業が
世界の資源産業の大株主に名を連ねることになるでしょう。
そういう中で、日本ははたしてどこに並ぶ積りでしょうか。
一ぺん自分たちの大企業の株を半分も買い占められた日本が
アメリカの大企業に返り討ちをするようなことが
考えられるでしょうか。
そうした目で見ると、
これから海外進出する日本企業は
アメリカの自動車会社を買い占めるよりも、
インドやロシアや群小新興国に新しい工場をつくる可能性の方が
ずっと大きいのではないでしょうか。
凋落するドルに手を貸すニュー・リッチは
あまり見当たらないのではないでしょうか。


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2008年3月22日(土)

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