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第2935回
台湾海峡を挟んで新しい時代が

昨日の台湾の総統選挙は下馬評通り
国民党の馬英九の圧勝(または勝利)で、
8年続いた民進党と政府交替が起ることになりました。
台湾で何が何でも独立志向の人は約15%くらいいますが、
大半の人が現状維持を望んでいること、
戦争の危険を犯すよりも、
メシの食えることを優先させる
現実的な物の考え方をしている人が多いことがわかります。
いまの人民共和国のトップは昔のおそろしい共産党体制とは違うし、
台湾の主要産業の9割までが既に中国に動いていて、
年間に470億ドルもの貿易黒字を台湾にもたらしています。
政治家だけが現実離れのした敵対対策をとって、
台北から上海へ1時間半で行けるところを
香港経由で1日かかるように
8年間も抵抗し続けてきました。

台湾の独立運動は
「我が青春の台湾、我が青春の香港」にも書いたように、
私が先頭に立ってはじめたものですが、
その後、台湾に遷都した蒋介石がアメリカの提案する
「2つの中国」を拒否して国連を脱退した時、
「これで台湾の独立は夢と消えた」
と判断した私は
「共産を拒否する人々に生きる僅かなスペースもないのは
あまりに不公平だ。
台湾は世界の孤児になるかも知れないが、
経済をよくすれば何とか生き延びられる筈だ」
と考えて国連からの脱退によって
ごったがえしになっている台湾へ戻る決心をしたのです。
36年前に、今日のような場面のあることを予想したので、
私は政治にさよならをして、
台湾の経済発展、続けて大陸を金持ちにすることに
微力を尽す道を選びました。
台湾の民進党のトップの人たちから
「なぜ中共を金持ちにすることに力を借すのか」
と皮肉られましたが、
「金持ち喧嘩せずと言うじゃありませんか」
と私は笑いながら言いかえしたことが何回もあります。
台湾と中国の間で
いよいよこれから中台間の調整がはじまるところですが、
上海台北直通便が実現するのに
早くてもことし一杯はかかるでしょう。
香港には年間に1500万人の観光客が大陸から来ていますが、
台湾にはたったの8万人です。
そうした不自然な状態が改善されるところに
台湾がやっと辿りついたということです。
悪い話ではありません。


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2008年3月23日(日)

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