中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2973回
外貨減らしに全力を尽くせるか

中国政府にして見れば、物価も地価も株価も、
昨日と同じ状態が続くことが理想です。
でも、貿易黒字が続けば、物価が上がらなくとも、
地価、株価は上がります。
それもかなりスピードがついて目立つほどになると、
政府としてはジッとしているわけには行きません。

かつて日本でもバブルがはじける直前になると、
日銀が不動産に対する融資をとめて抑え込みにかかりました。
私は土地が上がっても、株が上がっても、
損する人はいないけれど、
一旦、上がってしまった物を政策的に抑えにかかると
怪我人が出ますよと言って反対しました。
しかし、そんなこと自分たちからは言えませんと
知り合いの政治家たちは口をつぐんでしまいました。
結果は悪い方へ、悪い方へと傾いてとうとう大不況、
デフレが15年も続いて、
日本経済はデフレに見舞われ息も絶え絶えの状態が続いたのです。

ですから人民元をドンドンふやしながら、
資産インフレを防ぐ方法をあれこれ講じても効果はないし、
といって何もやらないわけにも行きません。
そのためにお金を動かす人たちは
ジェットコースターに乗っているような目にあわされるのです。
でも中国経済全体はまだ発展途上にあり、
国内需要がほぼ飽和点に達するまでこれからも成長は続くし、
そのプロセスで産をなすチャンスはかなりあるので、
政府としては
「人民元の切り上げのスピードはおとしながら」
「外貨減らしには全力を尽くす」
何らかの目の醒めるような奇策を考えなければなりません。
つまり一度上がってしまったものは仕方ないけれど、
政策的にはそれを抑え込むよりも、
インフレのスピードを落とす対策が必要だということになります。

日本政府にはそれができませんでしたが、
中国政府にはたしてそれができるかどうか。
そのためには人民元の切り上げに
もう少しスピードをつける必要もありますし、
外貨減らしに抜本的な奇策をとり入れることも
絶対的に必要になります。
オリンピックが終った頃からが大きな勝負になると
私は見ています。


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2008年4月30日(水)

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