中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2974回
人民元の切り上げが銘柄選びを大きく左右

外貨減らしのために
人民元の切り上げと海外投資の推進が
絶対に避けられないとすれば、
そういうことによって有利な立場に立つ業種や企業は
これから中国で陽の当たるビジネスになります。

グローバル化によって国際貿易はふえる方向にありますが、
これまでの中国は輸出産業が先頭を走っていました。
しかし、アメリカの景気に不況の兆ざしが見えるのと、
ドルの切り下げが避けられないとなると、
輸出産業の将来は不利になることが目に見えています。
もちろん、コスト・ダウンや新商品の開発によって
ピンチを乗り越えて行くことはどこの企業も考えることですが、
それには自ら限界があります。
人民元の切り上げによって不利になるのを避けるためには、
対米輸出を減らして、BRICsや他の新興国に
順次、切り変えて行くことになるでしょうが、
逆風に向って船を漕ぐことに変わりはありません。
ですから輸出産業は国内向けが
輸出の減少分を補ってあまりあれば別ですが、
「原料高の製品安」に直面する生産事業は
気がついて見たら、斜陽産業の仲間入りをするところまで
追い込まれてしまいます。
たとえば新焦点は自動車部品の輸出好調で
荒波を乗りこえてきましたが、
パーツの販売先を外国から国内に切り変えなければ
減益に追い込まれてしまう体質です。
何年も続けてきた修理サービスのチェーンづくりが
やっと採算線に達したことで
辛じてピンチを逃れるところまで辿りついたようです。

こうした輸出から国内向けに切り変えることが
中国産業界の次の大きなテーマになっていますが、
その反対に波に乗りはじめたのは
人民元の切り上げと輸入の拡大によって
コスト・ダウンに恵まれている業種でしょう。
先に私はクイズ方式で
人民元の切り上げのメリットをまともに受けている
享泰(197)という食品輸入業者を例にあげましたが、
風がどちらから吹くかによって
有利になる企業と不利になる企業が大きく分かれます。
そういうことを頭に入れて
次の銘柄選びに力を入れる時代が来たのです。


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2008年5月1日(木)

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