中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2984回
オイル・ダラーと同じことをやるな

富を生む源泉を私は便宜上、
資源のある国と工業化に成功した国に分けて説明してきましたが、
それは地球上の数ある地域の中で、
収入のトップにある代表的な国々は
いずれもそのどちらかに属するからです。
ところが、地球上にはまだ農業国とか、
神様が取りこぼしをしたのではないかと思われる
低開発国がたくさんあります。

金持ちになった国々にも
それなりの解決すべき問題はたくさんありますが、
農業国の多くは所得が低いし、
低開発国に分類されるような国に至っては
教育を受けるどころか、
働きたくても仕事はないし、
満足に食べ物にもありつけない状態が続いています。
ならそういう国の工業化ができるかというと、
自分たちの食べる物さえ自分たちでつくれないのですから、
いくら偉大な指導者が現れても
自信を以てイエスと答えられる人はいないでしょう。

たとえば、モンゴルとか、チベットで
工業化を推進してくれと言われて
手をあげる人は先ずいませんが、
地下資源があるかどうか、探索をせよという話なら、
お金を使う仕事ですから、
志願者は現れます。
その結果、もし有望な地下資源にぶっつかれば、
たちまちお金も人も集まってきます。
炭鉱や油田やレアメタルの宝庫が見つかれば、
低開発国は資源国に一変するのです。
それを自国内だけでなく世界中の低開発国で展開すれば、
「犬も歩けば棒にあたる」のですから、
アメリカの投資会社に出資をして
世界中の目ぼしい会社の買占めをするよりも
宝の山にぶっつかる確率は高いのではないでしょうか。

資源の需要はふえる一方だし、
将来の値上がりも約束されているようなものですから、
資源を使う工業国が原料の確保に動くことは
正しい選択と言ってよいでしょう。
日本も中国もいまや世界で肩を並べる工業大国になったのですから、
折角、溜め込んだアジア・ダラーの活用の仕方を
誤らないことが大切です。
先進国の資産を買いあさるより低開発国に手さしのべるなら
資源の開発に重点をおくべきです。


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2008年5月11日(日)

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