中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2983回
チャイナ・ダラーよ、投資対象を間違えるな

アメリカで一番大きな顔をしているビジネスは
お金でお金を稼ぐ金融業です。
銀行といえば、
もともとは企業に不足する資金を融通する金貸しだったのが、
だんだん気が大きくなって、
他人のつくった企業を会社ごと買い上げて、
もっと高く人に売りつける乗っ取り業にまでのしあげたのです。
M&Aというときこえはいいけれど、
バブルがはじけて瀕死の重傷を蒙った外国の銀行や企業の株を
安値で肩代わりしてきたアメリカの投資銀行が
何をやってきたかを見ればわかります。

もちろん、人助けになっている面もあります。
しかし、企業を興すより金儲けが究極の目的ですから、
同じお金で人助けもやれば、企業潰しもやります。
そのうちにやることがなくなると、
サブプライム・ローンで
莫大な資金をこげつかせることにもなりました。
これは1回や2回で終わりという話ではありません。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」というように、
そのうちにまた新しい獲物を見つけたら、
また同じことを繰り返すことは目に見えています。

ですからオイル・ダラーが
アメリカの代表的な金融機関や投資基金に出資するからと言って、
工業で稼いだ日本や中国のアジア・ダラーが
それに右へならえをやったら大へんなことになります。
日本ダラーにやれることは精々、
日本板硝子がピルキントンの会社を
鵜呑みにするくらいのことですから、
間違えても大したことはありませんが、
中国がオイル・ダラーの後に続くと、
7年に1度くらいしかないことだとしても
再びドルの大暴落に見舞われて大へんなことになってしまいます。

そうした大きなショックを避けるためにも
チャイナ・ダラーは細かく分散してドルの運用にではなく、
自分たちが将来、必らず必要とする世界の資源開発に向けるのが
絶対安全だということになります。
つい最近も中国では自国の金山開発に
外国資本が参加することに難色を示していますが、
いっそありあまる外貨を、
それも民間の開発企業を動員して
世界中で新規の開発をさせたらいいのではないでしょうか。


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2008年5月10日(土)

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