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第2992回
もう民進党の時代ではなくなったのです

8年前、民進党の陳水扁が台湾の総統に就任した時、
私は招ばれて総統府に顔を出しました。
その時、私は15項目の提案をし、
「政治スローガンはなるべく控え目にして経済に重点をおくこと」
を原則にやるべきことを箇条書きにして渡しましたが、
実際に陳水扁がやったことは
不動産の増値税を半減することだけでした。
増値税を半減しても、土地の取引がふえるから減収にはならず、
景気の振興になるからというのが私の提案の根拠でした。

また私は大陸との交渉をなるべく早くすすめることをすすめ、
とりあえずすぐにも直行便を実現するように尻を叩きました。
「じゃCXにも飛んでもらうか」
と本人は応答しましたが、
「どちらも飛行機を持っているのに
どうして第三者に割り込んでもらう必要があるんですか」
と私は反論しました。
中国には既に100万人以上の台湾人が進出しており、
それらの人たちが行き来する度に香港経由では
時間とお金の無駄です。
1日も早く直行便を実現すれば、
1日だけ早く懸案の解決になります。

しかし、実際に陳総統のやったことは
臨時便を連休時に運航することだけで、
それもその度に、香港上空までとんで
クルリと1まわりしてから目的地にとぶという
自分の面子の立つ飛ばし方でした。
一言で言えば、
双方の経済の役に立つことはいちいち難癖をつけて引き延ばし、
経済的に役に立つことは何一つしないで、
相手に嫌がらせをするだけに終始したのです。

これでは
いくら大陸にのみこまれることに抵抗感を持つ台湾の人たちでも
愛想がつきてしまいます。
事実、この1年、陳水扁は赤シャツを着た陳水扁排撃運動もあって、
すっかり「びっこのあひる」になってしまっていました。
それが立法院の選挙、次期総統の選挙と潰滅的な惨敗を重ねて、
かつて外来政権といって排撃された
国民党の復活につながったのです。
外来政権というけれど、
新総統になった馬英九が香港生まれであるのを除けば、
国民党の主席も副主席も立法院長も全部、台湾出身者です。
蒋介石、蒋経国時代ではもうなくなっているのです。


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2008年5月19日(月)

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