中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3005回
不人気な内閣ほど長持ちします?

中国人は人前で、
総理大臣や役人の批判をする人はほとんど見かけませんが、
日本では知らない人に向っても
平気で総理大臣のことをこきおろします。
わけてもジャーナリズムやテレビに出てくる人はそうでもしないと
自分は見識のある人と見なされないのではないかと
おそれおののいているかのように見えます。

おかげで新しい総理大臣は罵声悪評を浴びながら登場します。
まだ何もしないうちから馬鹿者扱いされ、
皆で足をひっぱって舞台から引きずりおろそうとします。
それでも総理大臣になりたい人がいるのはどうしてでしょうか。
私の理解を越える社会風景です。

もちろん、たまには拍手で迎えられる
人気のある総理が誕生することもあります。
しかし、人気と天気はそう長続きのするものではありません。
田中角栄が登場した時は大へんな人気で迎えられました。
私はこんなに迎えられたのでは短命に終わるだろうと予言しました。

はたしてアッという間に人気は逆転し、
ロッキード事件をきっかけに田中内閣は退場し、
田中さんは塗炭の苦しみを味わいながら
最後はあのような気の毒な幕の閉じ方になってしまいました。

ですから新しく登場する総理はバカだ、チョンだと
もみくちゃにされながら登場した方がいいのです。
佐藤内閣がそうでした。
佐藤栄作はスター的な人気はありませんでしたが、
人使いのうまい人でした。
「ですから、あなたが考えるよう長持ちする内閣ですよ」
と途中で下野した中曽根さんに再入閣をすすめたこともあります。

そういった意味では安部内閣よりも
福田内閣の方が長持ちする条件を備えています。
誰がやっても難しい立場に置かれながらよく健闘しています。
やっていることもジャーナリズムでは不人気ですが、
後世の人が見たらまともで先見性のあることです。
テレビで見ると歩き方が早くて
年齢に比して元気なのが何よりです。
「福田さん、頑張れ」と思わず叫びたくなります。


←前回記事へ

2008年6月1日(日)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ