中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3007回
視覚偏重の日本文化これでいいのか

日本に帰ってきて食事のテーブルでテレビを見ていると、
テレビが普及したおかげで
日本人がテレビにつかまっている時間が
異常に長くなったのではないかと疑いたくなります。
仮にそうでないとしても、
視界から入る知識が
読書とか仕事から入る知識よりも圧倒的に多くなって、
日本国中が目から入った視覚文化の国になってしまうぞ
という印象を受けます。

大宅壮一さんはこうした現象を
「一億総白痴化」という言葉で表現しましたが、
自分で考えて判断する前に目で見たことが
脳の中を占領してしまいますから、
テレビに出てくる人が自分の友人や会社の同僚よりも
親しい友人になってしまい、
選挙をする時もついテレビで親しんだ人に投票してしまいます。
最近、いつもテレビに出てくる
芸人とかコメンテーターと呼ばれる人たちが
市長とか県知事に選ばれるようになったのも、
こうした視覚文化の産物と言ってよいでしょう。

また見て感じのよいイケメンばかり集めて
ゴールデン・アワーを
何の意味もないクイズ番組で埋めていますが、
頭で勝負しないで顔で勝負するとなると、
日本の将来はどうなるのでしょうか。
顔で勝負のできない人は球の投げ方と打ち方で勝負をします。
そのあとは喉で勝負します。
しかし、そのどれも視界に訴えてお金をもらう商売ですから、
日本人が食うに困らない間は大丈夫でしょうが、
知恵を働かせて付加価値で勝負する分野で
はたしてトップの座を争うことができるのでしょうか。

どうして高度成長の時代が終って、バブルがはじけてしまうと、
みんなの視覚に訴えて
タレントと美少年で勝負をするようになったのでしょうか。
あまりにも知恵足らずの社会になったので、
ジャーナリズムでは脳内革命がブームになったのでしょうか。
この調子で視覚文化が増長すると、
そのうちにテレビのタレントが
政治を牛耳る日本になるのではないでしょうか。


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2008年6月3日(火)

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