中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3033回
お金が中国の政治制度を変えます

中国の経済発展にブレーキをかけているのは
共産党による一党独裁だと早合点している人がたくさんいます。
だから共産党政府なんか早く潰れてしまえばいいんだと、
口にこそ出さないけれど、
心の中で思っている人も少くはありません。

多党制の選挙制度が民主主義と信じて疑わない人は
アメリカのような政治制度を至上としていますが、
中国のように13億もの人がいて、
しかも1人1人が自己の利益追求に動きまわる社会で
同じやり方をすると収拾のつかなくなるおそれがあります。
だから共産体制でいいのだということではありませんが、
最初は共産主義からスタートしても、
時代の変化に応じて政府が最大多数の人々の利益を守る体制に
少しずつ変化して行くのが理想ではないかと思います。

それが実現できるためには、
人々が豊かになってその発言が重視されるようになることと、
権力を握っている人たちに対する監視制度が
確立される必要があります。
そのためには言論の自由も必要だし、
経済活動に対する制限も徐々にはずして行かなければなりません。
しかし、そういうことはいますぐできることではありません。
何がその力になるかというと、
人々が平均して豊かになって行くことです。
その証拠に10年前といまでは
人々はかなり自分の意見を言うようになりましたし、
また政府も人々の意見に耳を傾けるようになりました。

先日もファーストの切符で飛行機に乗ろうとしたら
機種変更になったのでと
その場で差額を払い戻してくれた上で
ビジネスの切符を渡されました。
ところが機内に入ると
ちゃんとファーストの座席があるではありませんか。
同じ目にあわされた中国人の乗客がどうしてかと問い詰めると
北京の副部長(中央政府の副大臣)一行が
急に乗ることになったのでという返事を受けました。
それに対して納得しない乗客が
長々と抗議をしておさまりがつきませんでした。
以前には全く見られなかった光景で
豊かになった中国の新しい変化だと
私は興味をもって観察していました。


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2008年6月29日(日)

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