中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3034回
次に来る高波は食品中心の物価高です

いま中国で高波に見舞われている分野がいくつかあります。
最高潮に近づいているのはもちろん、北京オリンピックですが、
これは8月がすぎれば、しぜんに沈静化します。
オリンピックしか目につかない人は、
これで中国の景気も一段落して
次は下降線に入ると見ているようですが、
次から次へと高波が襲いかかってくるので、
頭の痛いことはこれで終わりということではありません。
四川大地震もその一つです。
高度成長に入ってからの大地震のあたえるインパクトは
日本人が考えるよりずっと大きなものです。
鉄鋼株が下値を模索しても、
鉄筋市場が強気の動きをしているのを見てもわかります。
不動産の動向にも、
今までと違った変化が起ることも考慮に入れる必要があります。
しかし、「災害に売りなし」と言われるように、
景気の後退を意味するものではありません。
新しい需要が喚起されて景気にとってはむしろプラスに働きます。

高値が更に高波を誘って
政府にとって頭痛のタネになるのは何といっても物価です。
実需よりも投機による押し上げが強いせいで、
ごらんのように石油が空前の高値を呼んでいますが、
新興国の需要を背景に、その他の資源にも火がついています。
とりわけ食料品の値上がりは
庶民の生活に大きな影響をあたえるので、
政府にとっても一番頭の痛い動きです。
石油や電力なら鶴の一声でストップをかけることができますが、
食料品にストップをかけると、
次の日から必要な物が店先から一せいに姿を消してしまいます。

その一方で、労働力の不足が
賃金を押し上げる経済環境になっていますから、
物価と賃上げの駆け比べが
オリンピックのあとの最大の高波になることは
誰の目にもはっきりと見えるところまで来ています。
日本でもかつて起ったことですが、
一歩誤ると、中国も日本に負けない
物価の高い国になることが考えられます。
油断はできません。


←前回記事へ

2008年6月30日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ