中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3045回
産油国の王様たちが禿げ鷹になる番です

資源が値上がりすれば、お金は資源国に集まります。
しかし、集まったお金は、
資源を支配している王様とか独裁者の手中に納まりますから、
人々の生活のレベルを押し上げることにはなりません。
もちろん、そのお流れが公共投資に使われたり、
環境改善に使われたりして、
資源の開発が全く行われていない国よりは
少しはましになるでしょうが、
その大半の資金はもっと大きなリターンを期待して
投資に向けられます。

たまたま同じ時期にサブプライム・ローンの失敗によって、
アメリカを中心として世界中の金融機関がピンチにおち入り、
新規の資金を求めています。
危うく潰れかかった証券会社もあれば、投資銀行もあります。
市価で何十ドルもしていた株がたった2ドルになった時に
身売りをするかと思えば、
これまで高値を呼んでいた株が最安値に落ち込んだところで
増資を勧誘している世界的に著名な金融機関もあります。
金融界のピンチを助けるために
政府が先頭に立って金利を下げているので、
ちょうど20年近く前に、
日本で起ったようなことがアメリカで起っているのです。
政府が日本の預金者を犠牲にして
金利を限りなくゼロに近いところまで下げたところで、
日本の銀行は債務累々の日本の上場企業にお金を貸す代わりに、
金持ちで焦げつきの心配のない
アメリカの禿げ鷹たちに融資をして
日本の一流株や焦げついた不動産を買わせたのです。

それと同じことがいまアメリカの金融界に起っています。
銀行や証券会社や投資信託の株は二束三文だし、
低金利ですから、
お金持ちはいくらでもお金が借りられます。
産油国の王様たちは
サブプライム・ローンでも一杯喰わされたでしょうが、
石油の値上がりによって損をとっくに取り返えしています。
その勢いに乗って
アメリカ人の財産を片っぱしから食いまくる番になったのです。
もうしばらくしたら、
アメリカで新しい愛国運動が起って来るぞと思うのは
私だけでしょうか。


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2008年7月11日(金)

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