中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3044回
産油国のお金はどこへ動くのか

私たちは昨日の続きの今日を送っていますが、
私たちの生きている環境は容赦なくドンドン変って行きます。
ですから昨日と同じ考え方で明日を迎えるわけには行きません。
私はイラクの戦争がはじまった時、
石油が1バレル50ドルに倍加することを予想しましたが、
150ドルに迫るところまで値上がりするとは予想できませんでした。
中国やインドのような人口の多いところで、
経済成長がはじまれば、
いずれ食料不足が大問題になると考え、
バイオによって食料の生産をする時代が来るぞと予想しましたが、
まだその技術が企業化されるに至っていないのに、
早くも食品の値上がりがスタートを切るところまで
来ているようです。

こういう段階で世界の金融機関がピンチに見舞われても、
失うのはお金だけですから、
倒産は起っても、
お金の持主が変わるだけで、
お金のなくなった分は、印刷すればまた元に戻ります。
しかし、ガソリンが不足したり、
食料が不足したりすると、
お金の流れが大きく変わります。
お金の流れが変わると、
資源を持っている国やそれらの資源を使う工業国では、
対応の仕方も変わるし、
企業や個人のふところ具合にも大きな影響をもたらします。
対応の仕方によっては、
倒産する企業もあれば、
時代の寵児にのしあがる成長産業も続出します。

先ずどこに陽が当るかというと、
第一は資源国です。
なかでも産油国です。
しかし、産油国といえば、
アラブを中心とした従来からの産油国と、
最近その仲間入りをしたロシアのことであって、
いずれもそれらの国の小数者の手に富の実権が握られていて、
国単位で所得のレベルが上がる環境ではありません。
いくら産油国にお金が集中しても、
その分け前に預かるために
私たちのお金が
それらの国々の産業に集まるというわけには行きません。
むしろそれらの国に集ったお金がどこに向けられて
どんな動きをするかがいままでになかった新しい動きとして
注目されるのではないでしょうか。


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2008年7月10日(木)

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