中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3047回
アジアの株価はアジアが決定する方向に

世界中で今後もドルを一番稼ぎ続けるのは産油国ですが、
次に稼ぐのは工業製品をつくって
輸出で黒字を続けている工業国です。
日本がずっとそのトップ・バッターでしたが、
それに続く中国がいまでは
最大の外貨準備高を抱えるようになりました。

石油の輸入に対しては、
為替レートもヘチマもないアメリカが工業製品の輸入となると、
途端に人民元がどうのこうの、
円がどうのこうのと口喧しくなります。
アメリカ本体で金融不安が起り、
ドル安が更なる不安に発展しそうになると、
さすがにその声も途絶えがちになりましたが、
アメリカの景気後退が今後、長期化するようになれば、
産油国より大きな影響を受けるのは工業製品輸出国です。
円や人民元がアメリカの不況を前にして切り上がれば、
不況と平価の切り上げで往復ビンタを食うのは
日本も中国も同じです。
不況の影響と円高、人民元高で
輸出業種はピンチが避けられなくなってしまいます。
その上、国が保有している米ドルも目減りするのですから、
アメリカの不況から受ける被害は
決して小さなものではありません。

しかし、こういう変化が一つの契機になって、
アメリカ中心の世界経済地図に変化が起ります。
アメリカに対する輸出が減退に転じても、
中国の国内消費の増大はそれを補ってあまりあるでしょうし、
日本の輸出構造も数年前から少しずつアジア中心に変化し、
アメリカがゴホンとやっても
日本はもはや肺炎にならないですむようになっています。
アメリカの影響よりも、
四川省の地震で全国的に鉄筋や鉄骨の需要がふえれば、
新日鉄の輸入する鉄鉱石が安値になることは
全く期待できなくなります。

となると、次の中国の株価を決定するのは
アメリカの景気ではなくて、
中国国内におけるお金の動きということになります。
輸出の不振や政府の規制が続いても、
なお元気で体長の伸びる業種や企業は
何かを探がし出せばよいのです。
そんなに難しいことではありません。


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2008年7月13日(日)

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