中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3051回
石油不足は何とか解決できるとしても

いま産業界と株式市場に一番大きな衝撃をあたえているのは
アメリカに端を発したサブプライム・ローンの失敗と、
あとの2つは石油の暴騰と食料の値上がりを中心とした
インフレです。
お互いに連動する必然性があったわけではありませんが、
別なことがきっかけになってはじまったことでも、
お互いに顔をつきあわせると、
相乗作用を起して大きな流れになってしまいます。

しかし、サブプライム・ローンは不動産ブームの反動が来て、
お金を貸した金融機関が
お金を返してもらえなくなっただけのことですから、
融資したお金が目減りしたおかげで
当事者は倒産の憂目にあいますが、
地震や火災によって物的損害を蒙ったわけではありません。
マネーゲームによる被害ですから、
一言で言ってしまえば、
同じ額だけのドルを誰かが埋め合わせをすれば、
片のついてしまうことです。
ところが、石油の値上がりということになると、
ガソリンを使う人の一人一人のふところに響くし、
工業製品のコストを大きく押し上げるので、
産業界の収益にも作用して、景気不景気を大きく左右します。
そこへさらに投機資金が割り込むとなると、
最近の取引価格が示すように、
世界的な不況のきっかけになることがないとは言えません。
仮にそうなっても、
やがて需要の減退となってハネかえってきますから、
最終的には落着くところに落ち着くでしょうが。

但し、中国やインドのような
人口の密集している大国で高度成長が続くと、
多分、10年に一ぺんのサイクルで
同じことがくりかえされる可能性が大になります。
石油が掘りつくされてしまうのか、
もっと大きな資源が発見されるのか、
あるいは代替燃料か、新技術にとって代わられるのか、
最終的には人間の智恵が解決することになるでしょう。
それに比べると、もっとずっと深刻なのは
食糧不足が避けられなくなることではないでしょうか。


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2008年7月17日(木)

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