中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3052回
食糧不足が世界を襲う日が必らず

今後、世界でお金の集まるところは大きく二分されます。
一つはアラブやロシアのような産油国で、
もう一つは日本や中国のような
付加価値で富をつくり出す工業国です。
産油国は新しく富をつくり出すわけではありませんが、
石油の消費がふえれば、
需給のバランスが崩れて
価格の上昇がくりかえされることになります。
いまのところ石油による収入は
一握りの人たちの手に握られていますが、
アラブもロシアも人口のふえる方向に動いていますから、
いつまでも同じことが続くとは限らないでしょう。
欧米との「文明の衝突」がどこまで続くか、
全く見当がつきませんが、
お金の動きにやがて大きな変化があったとしても
不思議ではありません。

それに比べると、石油をはじめ、
様々の資源を原料とした工業生産は今後も限りなく続きます。
日本から韓国や台湾くらいまでなら、
工業化によって食糧不足を起しても
オーストラリアとか、カナダとか、
他の食糧生産国がその短を補いますからさして問題はありませんが、
中国に続いてインドと
あわせて25億の人口を擁する二つの大国で工業化がすすむと、
やがて農業に従事する人口が激減して
食糧不足をきたすことは目に見えています。

日本、韓国、台湾の工業化が示しているように
工業化がすすむと、農業から工業へと人口の移動が起って、
人口の半分を養う食糧が不足して、輸入に頼るようになります。
日本の場合は6千万人分、韓国の場合は2千5百万人分、
台湾の場合は1千万人分、食糧を輸入に頼るようになりますが、
25億人の半分の食糧不足を供給してくれる農業大国は
この地球上に存在しないのです。
もちろん、こんなこと明日にもすぐ起ることではありません。
しかし、工業化が進むにつれて
確実に起ることに間違いはありません。
いまは田畑をつぶして工場を建てていますが、
そのうちに
「うちには自動車は3台もあるが、食べる物がないよ」
という時代が必らずやって来るのです。
その準備をする必要があります。


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2008年7月18日(金)

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