中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3053回
食料品の生産に画期的な革命は必至

中国の政府も工業化がすすんで農地が減少し、
食糧不足になることを怖れて、
食料自給率を95%に保つことを目標にし
てあれこれ計画を建てています。
それでも工業化先進国の実例が示しているように、
次々と農地が工業用地に転用されると、
何しろ同じスペースで
10倍から100倍の人口を養えるようになりますから、
それを抑え込むのは容易なことではありません。
気がついたら、工業化が不可能な地域の農地だけが残って、
あとはすべて工業用地に転用されてしまっているのです。

その上、農村で働くよりも、
工場で働いた方がずっと実入りが多いので、
農業のあとを継ぐ人がいなくなってしまいます。
ですから輸入だろうと何だろうと、
お金で食料品が手に入る限り、
工業化が進む国では食糧の自給能力が失われてしまうのです。

そうした傾向に対する危機感があって、
食糧をはじめ口から入れる物に対して、
減少にストップをかける政策が打ち出されるのでしょうが、
そうした努力にも拘らず、
食料品の自給は減少方向に向うと考えていいでしょう。
現に石油の値上がりとほとんど併行して
食品を中心としたインフレ傾向が
次の時代を大きく揺さぶる動きとして出てきています。

工業化によってふところ具合がよくなった分だけ
食料品は値上がりをはじめましたが、
やがて供給が需要に追いつかない分だけ
値上がりがそのあとも続きます。
ですから、食の分野は改めて産業界の関心事になる筈だし、
そうした分野で画期的な生産革命を起したり、
新しい付加価値づくりに成功した企業は
次の時代の成長産業の仲間入りをすることになります。
いまはバイオでつくられた農作物に
あれこれイチャモンがついていますが、
そのうちに背に腹はかえられない時代が来ることは
目に見えています。
食糧生産の革命的な方法が
やがて次々と皆さんの目の前に現れる筈です。
またそうならなければ、
人類は餓死に直面することになります。


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2008年7月19日(土)

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