中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3058回
レストランは割りに合わないビジネス

人には「外国に行って日本料理屋なんかやるな、
レストランなんかひらくな」と言っておきながら、
自分ではやっているじゃないかと反論されるかもしれません。
実はこの何十年の間に、帝劇の地下で
メキシコ・ギョウザという店からはじまって、
私がはじめてビジネスホテルという名前をつけた
渋谷ビジネスホテル
(遂に最近、廃業してしまったようですが)
その地下にキュービック・プレイハウスという
シャンソン・レストランをつくったこともあります。
このレストランは料理は中華でしたが、
深緑夏代、淡谷のり子の大先輩を前頭に、
美輪明宏、美川憲一、金子由香利といったお歴々に
昔懐かしいシャンソンを唄ってもらった実績があります。

のちに台湾に帰るようになって、
自分の建てたビルの中に入ってもらった北京料理の店
天厨菜館のオーナーをつとめてから、
日本料理屋からフランス料理屋に至るまであれこれ手を出し、
日本に天厨菜館の支店をつくったこともあります。
更に大陸に進出するようになると、
中国料理からイタリア料理、
さてはコーヒーの栽培からパン屋にまで手を伸ばすようになり、
性懲りもなく焼肉屋のチェーン店もいま拡大過程にあります。
それでいて、レストランはおよしなさいというのは
どうしてかというと、実際に自分で手がけて見て、
これはなかなか難しいビジネスであるばかりでなく、
さしてお金も儲からない上に、ちょっとでも油断をすると
たちまちお客に愛想をつかされ、
見捨てられてしまう商売であることを実感しているからです。

私が新しい店を手がける度に、うちの家内はいつも
「どうしてあなたが
あんな割に合わない商売をやるのか気が知れません。
私を見てちょうだい。
少々、チップをはずんだだけで下にもおかない扱いを受けた上に、
マネージャがわざわざロールス・ロイスまで
送りに出てくれるんですよ。
私なら送ってもらう方にまわって、
売り上げの心配をする方はご免こうむりますけどね」
本当にその通りなんですよね。


←前回記事へ

2008年7月24日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ