中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3059回
それでもサービス業は成長産業

レストランなんて片時も目が離せない商売なのに、
うまく行っても大したことがないことは私だって百も承知です。
にも拘わらず一食五十元の食事とか、一杯三十元のコーヒーの
売り上げにこだわり続けるのは、飲食が人間の生活の中で
最も重要な位置を占めているからです。

どんなに金持ちになっても、逆にどんな貧乏な生活をしても、
食べることはとても大切なことです。
食うや食わずの生活をしてきた人でも、
少しふところ具合がよくなると、
眞先にお金を使うのは食べることです。
いまの中国、殊にこの三、四年の動きを見れば
よくわかることですが、
一番面目を一新しているのは
軒を並べるレストランの入り代わりです。
北京でも上海でも、次に来ると、商店街の地図が変わり、
新しいレストランが次々と誕生しています。
古いレストランの代わりに
新しいレストランが誕生するのではなくて、
古いレストランの中に
新しいレストランが誕生するのです。

もちろん、新しく誕生したレストランが
常に繁盛するわけではありません。
新しいレストランがお客を呼べば、古いレストランは姿を消します。
いくら新しいレストランでも
他店の眞似をしただけで
お客の心をつかまえることができなければ、
お客はすぐ離散してしまいます。
ですから、たくさんのレストランがひしめきあっているようですが、
新しい中国には二種類のレストランしかありません。
「とてもよくハヤっている店」と
「誰もお客の入ってない店」です。

ハヤる店とはお客の心理をよくつかんでいる店、
ハヤらない店とはそういうことに一切無頓着で
時代から取り残されてしまった店ということになります。
もちろん、これは日本のような
成熟社会の食べ物商売にも言えることです。
しかし、懐具合が大へんな勢いで伸びている
成長過程にある中国では片時の油断もできません。
そうしたお客の好みの変化と懐具合の変化に
うまく対応できるかどうかということです。
自信があれば、もちろん、
レストラン・ビジネスは成長産業なのです。


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2008年7月25日(金)

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