中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3060回
食生活で優位に立ちたかったら今から

工業化がすすめば、農業人口が減少し、
必ず食料が不足するという見方がずっと私の頭から離れず、
いまも私につきまとっています。
でも金持ちになるためには
工業化の道を選ぶよりほかありませんから、
どうしても農業は後廻しになります。
自動車一台つくったら、米何俵と交換できるかを考えたら、
子供にだってすぐにわかることです。

ですから、日本は工業化への道を眞っしぐらに走り続け、
短い間にアメリカと肩を並べる金持ちの国になりました。
その代わり自分たちの食べる食品の半分以上を
外国から仕入れる国になってしまいました。
工業製品を売ればそのくらいの代金はらくらく支払えますから
お金に困ることはありませんが、
本当に世界中が食料不足におちいったら大へんなことになります。

同じことが中国にも起ったらそれどころの騒ぎではありません。
一億二千万人の半分の食糧なら
世界中のどこかから買うことができますが、
十三億人の半分の食糧を供給してくれるところは
どこにもありません。
もちろん、そんなことはいますぐ起ることもないし、
将来に備えて、農村の生産性をもっとあげれば
大丈夫だという考え方もあります。
しかし、現実に食料品の値上がりが
世界的なスケールで起って見ると、
生活に及ぼす影響は甚大です。
フィンランドでは都会の人が郊外に小さな別荘をもって
週末にそこに行って畑をつくっているのを
見学に行ったことがありますが、
ロシア人が似たようなことをやっていることが
最近よく報道されるようになりました。
中国人はもっと効率よく富を築く道を歩きはじめているので、
誰も食糧の心配をする立場にいないようですが、
あまり遠くない将来に各家庭でロシア人のやり方を
採り入れる必要が起るかも知れません。
企業としても将来の食糧不足に直面しないですむ道を
ひらいておく必要があります。
私がコーヒーの栽培からはじまって、
ソバの改良や野菜の品種改良に執着するのも、
もしかしたら本能的な危機感が働いているのかも知れません。
皆さんもアジアの農業に企業化のチャンスがあるか、
よく考えてみて下さい。


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2008年7月26日(土)

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