中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3080回
揃いも揃った気の小さい人ばかり

ジム・ロジャーズの「中国の時代」を読んで、
それが機縁で中国株をやるようになったり、
中国ビジネスに進出するようになったとしても、
決して悪いことではありません。
中国の将来に対してしっかりした眼で
よく見えているアメリカ人でロジャーズの
右に出る者を私は見たことがありません。
あとは自分がどう踊るかですから、
うまく行かないようなことが起っても、
人のせいにするわけには行かないのです。

ところが、日本の新聞雑誌を拡げると、
どこをひらいても、中国の特集です。
それもはじめから終わりまで
中国が駄目になる話ばかりです。
「オリンピックで自滅するか、中国」(ボイス8月号)
世界を揺るがす「愛国中国」という妖怪、
「親日・台湾」が危ない(以上サピオ8月号)
「中国変化論」を嗤う、
中国はファシズムに向う(以上WILL8月号)
四川大地震、略奪と暴行の地獄絵(文芸春秋8月号)
中国、逆上する超大国(中央公論)
ザッと私のところに贈られてくる綜合雑誌のどの一冊を見ても、
中国がいまにも大混乱におちいって
崩壊してしまうような記事や対談ばかりです。
もし本当にその通りになったら、
それこそ日本人はとても安閑としておられない筈です。
私は毎月のように中国大陸に行っていますが、
私がこの目で見て実際に理解していることと
あまりにもかけ離れすぎます。
そういうことを書き立てて
日本の将来のためになることが
一つでもあるのでしょうか。

日本と中国とどちらが心配かときかれたら、
私は日本の方じゃないかと思っています。
国の予算だって毎年80兆円かかるというのに、
収入は50兆円しかないのですから、
毎年30兆円ずつ借金が増え続ける
完全な自転車操業なのです。
中国への輸出がふえたおかげで、
アメリカがゴホンと咳をしても
肺炎にならないですむようになったのに、
どうして中国政府がひっくりかえるのを
そんなに熱望するのでしょうか。
どうしてそんなに気の小さいオピニオン・リーダーばかり
揃えたのでしょうか。


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2008年8月15日(金)

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