中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3081回
日本は近代化で中国の30年先輩です

中国の経済成長は私が見ると、
日本に比べて30年ほど遅れてはじまりました。
外見だけ見ていると、骨格や身長はもう大人並みですが、
身だしなみや人づきあいは
まだ成熟したオトナには遠く及びません。
私と面識のある5つ星ホテルの総経理(社長)さんが
はじめて日本に行くのでよろしくと挨拶があったのですが、
生憎とその時、私は北京に先約があって行き違いになったので、
私のロールス・ロイスを貸し、私の秘書に案内をさせました。
食事も向うの希望に従って、日本料理の然るべき料亭に案内し、
料理の出し方や
次々と出てくる皿や鉢の見事さにとても感銘を受けたと
あとでご本人からきかされました。

「貿易の数字や次々と建つビルを見たら、
すぐにも追いついたと考えるかも知れませんが、
細かいところを見ると、まだまだなんですよ。
中国が名実共にいまの日本の文化水準に達するのに、
まだ30年くらいかかりますよ」

私がそういうと、中国でもトップ・クラスのホテルの経営者は
「今回の旅行でそれを痛感しました。
本当にローマは一日で成らずですね」
と向うも一も二もなく賛成してくれました。
そういう具合に日本の文化的、
社会的レベルを評価してくれる人もたくさんいるのです。
それなのに罵倒に近い形で
中国政府や中国人を悪様にこきおろすのは、
自分の息子を頭ごなしに怒鳴りつけるようなものです。
テレビを見ていると、最近の日本では親を庖丁で滅多斬りにしたり、
親に恥をかかせるために
通り魔と化する子供が後を絶たないようですが、
血のつながりのない赤の他人の子供なら
どう反応すると思われますか。

いまの中国は経済の骨組が
やっと一人前のオトナになったところです。
これからどうすればいいのか暗中模索がはじまるところです。
頭ごなしに怒鳴りつけたら
いい隣人になってくれると思っているのでしょうか。
日本人は先輩として
どうしてこんなにも思いやりがないんでしょうか。
アジアの将来をどうする積りなんでしょうか。
心配ですね。


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2008年8月16日(土)

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